第八回:2021年02月16日(火、昼休み実施)「劇ユニさんを連れてきた。」第1回 (ゲスト:愼允翼さん)」
「劇ユニさんを連れてきた。」第1回 (ゲスト:愼允翼さん)」
参加人数:8名
今回は1回目の「劇ユニさんを連れてきた。」を開催。ゲストは現在文学部4年の愼允翼さん。
主な会話内容:
暮らしの様子
・脊髄性筋萎縮症を抱える。
・24時間ヘルパーさんをつけて、一人暮らしをしている
・家でお酒を飲むのが大好き
今回のテーマ決めは難しかった
・一年前に「コロナ禍と障害学生」というテーマでインタビューを受けた。コロナで生活様式が変わって、人付き合いどうですか?という質問を受けたが、zoomで友達としょっちゅう喋っていたから困らなかった。そこで、そもそも外に出ることが容易ではないし、健常者のほうが困ったことは多いのでは?と感じた。
障害と自由
・「障害」というと福祉とか社会学に行く人が多いけれど、自由ってそもそも哲学に関係するのではないか。
・自由の定義には色々あるけれど、例えばティリッヒによれば、生きる勇気は「にもかかわらず」を持っていること。それでは、「にもかかわらず」はどうやって実現できるのか
コロナ禍でできなくなったことはなんだろう
・コロナ禍だと夜に出歩けなかったり、なかなか友達に会えなかったりすることが多いです。
・会えないのはなぜ?例えば、キャンパスの中で会うとかは?オープンスペースで会うとかは?上野公園とかだとマスクを取って喋ることができると思う。(愼さん)
・それはできますが、でも大人数では会えないし…直近だと忘年会とかもできていないですし。
・そうか、確かに大人数では会えないね。障害学生っていうのもあるからかもしれないけど、もともと俺は静かなのが好き。わいわいすると聞き取れないし。それならば、逆にオンラインのほうが静かでいいかなって思うな。けど実際に会いたいというのも、確かにあるよね。リスクがあってでも会いたいかという、そこは選択かなって思う。(愼さん)
Q:文学部卒論は量でいうと一番多いのではないか?具体的にどうやって作成したのか。
A:4万字!ヘルパーさんにやってもらうのと自分でやるのとのハイブリッドだった。ヘルパーさんに打ってもらうこともあるけど、難しすぎる場合もあるので、その時はとりあえず自分で打つ。
Q:今打っているのは画面上のキーボード?
A:そう。
Q:英語以外の言語もスクリーンキーボードで書けるんですか?
A:ドイツ語やフランス語が打てる。卒論は1年半かかった。
Q:メモをたくさん貼ってまでの執筆。自分以外の人ならしない苦労なのかなって思ってしまわないのか。
A:自分にはできないけど周りはデフォでできることがあるなと感じることもあって…「他の人はできるのに自分にはできない」って嫌になることもなくはない。元々その質問が来たらどうしようとは思っていた。今の質問は「どうしてそんなに頑張れるんですか、心が折れないんですか」といったような精神力に関する質問ですか。
Q:精神力に関する質問というか、シンプルに他人と比較することがあるのかという点が気になります。
A:生まれつきこの身体だから、そもそも比較する相手の感覚を知ることができない。夢をよく見るけど、夢の中でも現実同様、身体は動かない。人間ちょっと馬鹿なほうがちょうどいい。人と比較しちゃう人は結局頭がいい人が多いのではないか。
他人と比較しないし、できない。他人がどういう状況か想像できない。実態はわからない。比較対象に関しては妄想に過ぎないんだ。妄想っていうのはどんどん膨れあがって歯止めが利かない。
経験者の声を聞くというのはとても意義がある。
(先生)「脾臓を手術で摘出した際に、愼君だけは何よりもまず最初に「話しましょう」って言ってくれた。それは経験ベースで言ってくれているのを分かっているから、すごく印象的だった。デートの誘いだったら強引かっていうくらいガンガン連絡が来た(笑)。でもそこが一番嬉しかった。」
今の世の中は困りごとが期待されちゃっている。困りごとをシェアして解決することが社会を良くすると思っている…
障害を哲学から見る。ニーチェっていうのを卒業論文で使ったんだけど…道徳から切り離して、言葉の力を借りながら言葉をつくっていく。地道なことが大事なのかなと。
